横浜の有名駅弁と言えば、崎陽軒の「シウマイ弁当」だと思います。
東京出張の帰り、新幹線なら東京駅で、飛行機なら羽田空港でついつい買ってしまいます。
昭和29年に横浜駅で生まれたシウマイ弁当は、日本一の売り上げを誇る駅弁と言われています。
昔は京都と大阪にお店があって関西でも買えたのですが、2007年のあの事件が起きた後に関西からは撤退してしまいました。
なので、長らく関西でシウマイ弁当を買うことができなかったのですが、なんとシウマイ弁当の「関西版」が昨年11月、JR姫路駅に登場しました。
その名も「関西シウマイ弁当」。
と言っても作っているのは崎陽軒ではなくて、姫路駅で駅弁を販売している「まねき食品」です。
まねき食品と言えば、姫路駅のホームにある中華麺+和風だしの立ち食いそば「えきそば」が有名ですが、明治の時代に現在の山陽本線の前身、山陽鉄道が開通した際、日本で最初に幕の内弁当の駅弁を販売したことでも知られています。
関西シウマイ弁当は、まねき食品と崎陽軒とのコラボレーション企画です。
オリジナルの関東版(横浜版・オリジナル)は黄色をバックに龍が描かれた掛け紙ですが、関西版(姫路版)は赤をバックに虎が描かれています。
タイガースか、タイガースがあるからか。
駅弁の容器は関東版と同じく経木折りで作られています。
経木が水分を吸ってしっとりしている感じも関東版と同じです。
フタを開けて一番最初に気づくのは、梅干しが赤いこと。
関東版のシウマイ弁当に入っている梅干しは青い「小梅」です。
そして、デザートなのかおかずなのか永遠の議論が続く「あんず」が入っていない代わりに、甘塩っぱく煮た「黒花豆煮」が入っています。
これもデザートなのかおかずなのか。
主役のシウマイはぱっと見た感じは同じです。
個数も同じで4個並び+上に1個。
崎陽軒のシウマイのレシピは門外不出で、関西版も崎陽軒が作って姫路に送っています。
ただ、関東版は貝柱のうまみを効かせているのに対して、関西版は昆布だしとかつお節でうまみを引き出しているそうです。
なお、関東版に入っているグリーンピースは、関西版には入っていません。
その他のおかずも微妙に違います。
関東版には「鮪の漬け焼」が入っていますが、関西版は「鯖の幽庵焼」です。
関西版のサバはふっくらしていて、柚子としょう油で上品な味付けになっています。
「筍煮」はどちらにも入っていますが、関西版は「えきそば」の和風だしでさっぱりと煮ています。
関東版の「鶏の唐揚げ」は関西版では「(鶏の)あご出汁唐揚げ」に変わります。
「玉子焼き」もどちらにも入っていますが、関東版の甘い玉子焼きに対して、関西版は昆布とカツオのだしを使った「出汁巻玉子」になっていました。
だし文化を猛烈にプッシュしてくるあたりが関西人だな。
全体的に関西版はあっさりとした味付けになっているような気がします。
個人的には関東版の濃い味付けの方が好きですが、主役のシウマイは関西版の方が好きです。
シウマイにグリーンピースはいらない派。
また、関東版には隅っこに切り昆布と千切りショウガが入っているのですが、自分は紅ショウガが絶対的に苦手なので、レンコンの甘酢漬けと柴漬けにチェンジした関西版はうれしいです。
いつもは紅ショウガを排除して無力化してからいただいていました。
関西シウマイ弁当はJR姫路駅の新幹線改札前にある売店で、午前9時と午後14時の2回、数量限定で販売されています。
また昨年12月からは、新幹線ホームの売店(上り・下り)と在来線下りホームの売店、それから姫路駅に併設された商業施設「ピオレ姫路」にあるえきそばの店舗でも販売が開始されました。
新幹線改札前の売店では販売開始の30分前から整理券を配っていますが、自分は平日の14時半ぐらいに立ち寄ったところ在庫はまだありました。
価格は税込で960円。
関東版のシウマイ弁当が860円ですから、100円ほど高い価格設定です。
シウマイは横浜の崎陽軒から届けられるなど、コストが掛かっているのかも知れません。
コロナ禍で苦しい中でのアイデアとは言え、関西と関東の駅弁屋さんが手を組んでコラボするのはなかなか珍しいことだと思います。
新幹線で移動される時は、東京駅でシウマイ弁当を、そして姫路駅で関西シウマイ弁当を手に入れて、是非食べ比べてみてください。
東京-姫路間はのぞみでも3時間ほどかかりますから、お弁当1個分は無事消化していると思います。3時間のインターバルで食える自信がない場合はこだまに乗れ。